山陰吟醸造り×突きハゼ三日麹×酵母無添加 生もと造り
無窮天穏(むきゅうてんおん)はこの3つの要素をかけ合わせた天穏の新ブランドです。
無窮天穏(むきゅうてんおん)
斎香(さけ)
原料米は、奥出雲産の早生品種である佐香錦使用
酵母無添加
生もと仕込み
山陰吟醸と呼ばれる製法
その特徴の一つが「突きハゼ・三日麹」
※民俗学者・神崎先生のお話で酒の「さ」は「齋」。「け」は「食、香、供」だという話がありました。
「齋」は清浄な、無垢な、神聖なという意味があり、「食、香、供」はそのまま食べ物、供え物の意味があるそうです。
色々な説があると思いますが、清らかな御供え物。
酒造りの職人としてこれ以上ない非常に納得のいく名前です。
※天穏とは天のように穏やかな酒。
天が穏やかにと願う酒。
それは齋香をつくり豊穣や繁栄を願う事と同意です。
天穏は齋香を造る蔵になります。
お薦め飲み頃温度帯
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- 杜氏の想い
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【R5BY】 無窮天穏 齋香 (さけ)生酛純米大吟醸 佐香錦 50% 生酛 k101酵母+7号酵母
本文:出雲杜氏 小島達也
R5BYの齋香です。お伝えしていたように今季の初回の齋香は齋香荒となったので、リベンジで新たに醸造した齋香です。環境を考慮して今季は乳酸菌と協会酵母を添加して醸造しました。とはいえ生酛なので蔵付きのものも入っていると思われます。
結果的には成功して従来のような齋香になりました。もともと協会酵母が入る前提+野生酵母10%程度の影響を想定した生酛造りだったので、無添加との違いはさほど出ませんでした。
清らかさの中に多くの要素があって、いろいろな感想が出てくるお酒です。齋香を満たす要素は十分ある思います。同時期に同じ製法で造った天頂はミネラリーな酒となり、無添加ではなくても、しっかり個性は出ると感じました。
もともと3日麹や吟醸造りと言った人の手で造る個性的な酒造りをしていたので、無添加が出来なくても変化や個性が現れてくるファクターをすでに多数持っていることを再確認しました。
そしてなにより毎日怯えながら経過を見て分析していき、無事に搾れたときには最初の齋香をつくった9年前の気持ちがこみ上げて、なんとも言えない気持ちになりました。
この9年間の酒造りは造り手としての山を登り続け、山頂で決死の戦いをしていたようなものでした。私としては山頂からの景色を見ることが出来たと思っていますが、その代償で心身に大きな凍傷を負ってベースキャンプに降りてきたような気持ちでもあります。
ありがたいことに周りの人たちに支えていただき、生きて帰ってこれたので、また進んでいけるような気がしています。しかし再出発にはクリアするべき課題が多くあるように思います。
6BYから生酛系をどのようにしていくかは蔵の環境や設備の更新等を含んでくるので、私の立場も含めてこれから蔵と話して決めていくことになります。確実に言えることは生酛系のラインナップが少なくなるので、既存の生酛系のお酒は貴重なものになっていくでしょう。
簡単に造ることも厳しく造ることも選択できる現代の酒造りの中で、蔵とその人達、造り手としての自分、そして飲んで下さる皆様にとって天穏という酒の最良の立ち位置はどこかを探る大きな機会となります。縁起や天雲でも酸度が上がっている醪があり、今回の酒造りの成功と失敗が、私たちに何を期待して求めているのか、しっかり考えていこうと思います。
齋香の説明というより全体の報告になってしまいました。しかし齋香や御神酒のマインドは私の酒造りの最初のきっかけであり、最後に目指すところであるので、今回の挫折は正直にお伝えし、前を向いていることもお知らせしたいところでもありました。
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