美味しさのかたち
 酒屋慶風
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<ワインの酸化とは>
   あるワインの試飲会場での一コマです。!!

来場者Aさん : ねえ、このワイン・・酸化してない?

来場者Bさん : そうね、ホント酸っぱいものね。
           酸化してるわね。

  ??? 会場の中にいて、何気ない会話が聞くともなく聞こえてきました。

あれ?ちょっと待ってくださいよ。
それは、酸化しているのではなく「しっかりとした酸のあるタイプ」のワインなのではないでしょうか。つまり、酸味を感じているに過ぎないのではありませんか。

ワインの酸化、あるいは劣化のメカニズムを説明しようとすればかなりややこしい話になりますので私ごときが皆様に上手くお伝えできるかどうか分かりませんが、今回は触りの部分のみ記したいと思いますので以下お付き合い下さい。

 「酸」 一般的にはこの言葉を聞くと酸味と同義語に思われているようです。そして、酸味を感じたら酸化しているとなるようです。
しかしながら、ワインの主要な構成要素である酸とは有機酸を指し、そこにアミノ酸が加わります。
この有機酸の主要なものは大きく7つに別れ、乳酸やリンゴ酸がよくそのワインの特徴に関与します。(この事については、また別の機会に譲ることにします。)

では普通にいわれる酸化とは何か。
これは、ワインが空気に触れたことにより起こる化学反応を指します。
つまり、酸素とワインと言う液体が触れた状態のその後と言うことです。
(この内容についても、別の機会に譲ることにします。)

と言うことは、ワインの構成要素である「酸」と一般的に使われる「酸化」の酸という言葉は、同じ酸と言う言葉を使いながら実は全く別の概念であると言う事になります。

ではワインが空気に触れて劣化するとどうなるのか。
多くの場合、空気中にある酢酸菌に冒され、酸味がきつくなり、飲めたシロモノではなくなります。
一般的に言われる酢(ワインビネガー)になって行く訳ですね。(もちろん、これだけでワインビネガーそのものにはなりません。)
そしてもちろん、すべてのワインが酢酸菌に冒される訳ではありません。

酸、および酸化と劣化、そして酸味、これらの概念は同じ「酸」と言う言葉が使われるために勘違いを起こしやすいので注意が必要ですね。



                                      
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