美味しさのかたち
 酒屋慶風
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【お酒を美味しく飲むためのマナー】

よく、「寿司にはお酒は合わない」とか言われます。

本来、寿司屋さんでのお酒の飲み方は、お造りを頼んでそれと一緒に日本酒を飲みます。
それが済んでから、お寿司をつまみます。
その時はあがりと呼ばれるお茶と一緒です。
つまり、寿司はご飯なので、食事をしながら酒を飲まないのが社会のマナーなのです。

うなぎ屋さんでも同じやり方ですね。
まず、白焼きを頼んでそれに合わせてお酒を飲みます。
その後、ご飯として鰻料理を頂きます。

つまり、お酒の肴として刺身料理のお造りがあり、同じく酒の肴として鰻の白焼きがあります。
日本の社会では、お酒を飲むという行為と食事をとるという事は別なのです。

だからよく言われるのが、通は寿司屋で寿司をつまみながら酒を頼むものじゃないとか、本来は寿司とお酒は合わないんだとかの話になるのです。

これが、懐石料理だともっとややこしくそして厳格になります。
作法というルールがあるからです。
この前菜までは酒を飲んでも良いけれど、ここでおすましがでてきたらその後は食事なので酒を飲んではいけないとか、何とか。
でも、理にかなっているんですよ。
本当に美味しく酒を飲み、美味しく食事をとるためなんですから・・。

こうゆうお酒を飲む作法は日本の文化だと思います。

先人たちは、美味しくお酒を飲むための工夫をしながら、それを作法に、つまりマナーにしていった訳ですね。
これはやはり、文化として残すべきでしょう。

では、ワインには日本のお酒の飲み方のような捉え方はあるのでしょうか。
おそらく、無いのではないかと思われます。

最近では、おしゃれなワインの揃う寿司屋さんも登場しています。
むしろワインは、食事と合わせて楽しむ飲み物であり、日本的にいうところのお酒というよりも食卓に上がる食材の一つなのかもしれません。

日本酒もワインもそれぞれに、お酒を美味しく楽しむ術を試行錯誤しながら創り上げてきたのでしょう。

時代が移り、現代の日本酒事情はどうなのでしょう。
お酒とのスマートで美味しくそして楽しく付き合う方法が考え出されているのでしょうか。
どうも、そういう話は聞きませんね。
むしろ、簡便な提供の仕方、飲み方の方が広がっているようです。

作法とかルールとかに縛られるなんて考えられない世の中なのかもしれません。

でも本当は社会人として大人のマナー、そして美味しく飲む方法、これらを身に付けてこそ、美味しいお酒がより活きてくると思うのですが。


現代の食生活に合った美味しいお酒との付き合い方が生まれるといいのではないでしょうか。




(※)併せて、この項の続きとして「食中酒ってどんな酒」もぜひご覧ください。



                                      
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