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【日本酒の品質管理について】 「火落ち菌」 実は日本酒の関係者が品質管理で最も神経を使うのがこの「火落ち菌」なるモノなのです。 普通は一般消費者の方に、お酒がダメになって飲めなくなる最大の要因は実は「火落ち菌」なんですよ、なんて説明は誰もしてくれません。 そんなややこしい話は美味しい酒の情報としてはカットされてしまうのがオチです。 でも知っておいて頂ければ、やはり買った後の保管にも気を使われると思いますので、ここで少し紐解いて覗いてみましょう。 この「火落ち菌」は、なんと空気中に普通に存在しています。 つまりどこにでもいるのです。 蔵の中に昔から住み着いている・・菌・・ではなく、どこにでもいます。 蔵の中にしか居ないのであれば、殺菌したり消毒すればいいのでしょうが、そうは行きません。 これが最もやっかいな品質劣化の大きな要因なのです。 日本酒は火入れした商品と生酒とがあることは皆さんご存知の通りです。 火入れとは火入れ殺菌のことで、出来たばかりの生のお酒に存在する酵母等を死滅させ、お酒を製品にして出荷した後、それ以上醗酵が起きないようにする為に行われます。 この時、実は多くの場合、空気中に存在する「火落ち菌」は出来たばかりの生酒の中に入っており、その火入れ時に一緒に殺菌され死滅します。 つまり、きちんと火入れ処理されたお酒の液体の中に「火落ち菌」は存在していないことになります。 と言うことは、生酒にはその液体の中に「火落ち菌」が存在しており、なりを潜めているかもしれないのです。 次に日本酒が火落ち菌に侵されると何が起きるのでしょう。 そしてどんな時に現象が起きるのか見て行きます。 火落ち菌に侵された酒は最初白くにごり始めます。 モヤモヤっとした糸を引くようなにごり方をします。 そして臭いもきつくなり、異臭が出てきます。 もうここまで来ると飲めたシロモノではなくなります。 一般的に「火落ち菌」が活動するのはお酒の液体の温度が18〜20℃になると要注意だとされています。 ではここで、一番多い例を上げてみましょう。 それは、生酒を購入され家の中で開栓した後、そのまま飲みながら暖かい部屋で瓶ごとテーブルの上に置いておかれ、瓶の中の液体の温度が18〜20℃以上になってしまい、生酒の中に潜んでいた「火落ち菌」が活動を始めると言った事例です。 あるいは生酒が部屋の空気と触れた時に、空気中の「火落ち菌」と接触したのかもしれません。 (もちろんお酒が「火落ち菌」に侵されたと言っても、飲んでいるその横で白くにごり始める事 はありません。数時間後にこの現象が起きますので、おそらく翌日になってからそれに 気づく場合がほとんどです。) つまり、生酒を冷蔵保管して頂きたい最大の理由はこうゆう事だったのです。 生酒の開栓後は特に注意が必要だと言う事ですね。 では、火入れしてあるお酒は大丈夫なのかと言いますと、可能性としては低いと言うだけで、開栓後にぞんざいな扱いをしていれば、空気中の「火落ち菌」と接触する可能性は高くなります。 美味しいお酒はやはり慈しんで扱いたいものですね。 |