美味しさのかたち
 酒屋慶風
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<ワイン考>
酒販店の立場から見たワインへの疑問(その2)

【赤ワインの3つの分類について】

赤ワインを購入しようとする際の参考になる分類といえば、
「ライトボディ、ミディアムボディ、フルボディ」ですね。
一見上手く分けられているように思えるのですが、どうも合点がいきません。

まず、ライト(軽い)の対句はヘビー(重い)です。
ボクシングの階級とかに使われています。
それから、S(スモール)の対句はL(ラージ)です。
洋服のサイズ表示で使われる S M L ですね。
そして、フルの対句はエンプティ。
クルマのガソリンタンクの状態に使われます。

このように、全く異なるランク分けに使われる3つの言葉が、ボディという赤ワインの表示として使われています。
これって、やはりおかしいでしょ。

洋服のサイズのLサイズ。
これに段階が付いていて、2L(LL)とか3L(LLL)とか表示されます。
とても当たり前の感覚だと思います。

こういうことなので、自分でこの捉え方を変えてみました。

洋服のサイズ表示を参考にして
1ボディ
2ボディ
3ボディ
というようにそのレベルを表す方が正しいのではないかと思います。

もちろん、飲んでの感覚ですからね。
洋服のサイズのようには行かないでしょう。
でも、理屈を言えばこうなります。

そして、ライトボディという表現はそのまま使って、その次に段階を表示する1ボディ、2ボディ、3ボディとした方が良いのではないだろうかと考えます。
なので、段階の表示としてはミディアムボディという言葉は使わないことになります。
ならば、
ミディアムボディそしてフルボディという言葉は一体どのように理解し、そして使われるべきなのか。

その前に、良い赤ワインってどのように見ればいいの?

グッド マテリアル
  ↓
グッド バランス
  ↓
グッド テクスチャー
  ↓
グッド テイスト
  ↓
グッド ワイン

とまあ、カタカナで書くとこうなるのではないでしょうか。

これを日本語でもって難しく表現してもそれほど意味がないように思います。
(ただ、このカタカナの言葉のニュアンスを知っていなければ、理解されませんが。)
でも、要するにこういうことだと思います。

この前提に立って、タンニン、酸、等々を確かめながら、複雑味とかの表現が出来るのではないでしょうか。

つまり、ミディアムボディそしてフルボディとは。
前段でカタカナと矢印で書いた良いワイン。
こういう感覚の美味しい赤ワイン。
といいますか、その状態だから美味しいと言えます。

ということは、熟成が必要なワインは、新酒時からそれ程経っていない場合はそのように感じないとも言えます。

赤ワインの場合、このチェックが難しかったりします。
タンニンも一杯感じる。
酸もこなれていないので、ごつく感じる。
苦味さえある。
つまり、色々な要素が満タンな状態。

そう、フルボディです。

これが、良い熟成期間を経ることによって、美味しい味へと変化していきます。
ちょうど良い状態になった時。
この時が美味しい訳です。

そう、ミディアムボディです。

つまり、1ボディ、2ボディというのはその計測した感覚です。
しかし、ミディアムボディ、フルボディという言葉は、そのワインの状態を指して言う言葉ではないだろうか。
そういう使い方の方が理解しやすいと思います。

ミディアムというのは、ちょうど良い状態を指す言葉。
そんな見方で赤ワインをチェックしてみるというのはどうでしょうか。

酒販店が考えた、美味しい赤ワインを選んで楽しむ為の見方であり分類方法です。
如何でしょうか。


但し、このように書きましたが決してこれが正しい捉え方であるとは思っていません。

今は、赤ワインを大まかに分類するような言葉として使われているけれど、本来これは、もしかすると計測したり分類する為の言葉では無いのかもしれません。

なので、この言葉の出自に焦点を当てないといけないようにも思います。
そうすると、違う言葉で3つが表されている理由も分かるかもしれません。

又、感じたことを書きたいと思います。
よろしくお願いします。



2013.02

                                      
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