美味しさのかたち
 酒屋慶風
     さかやけいふう

【ボジョレー・ヌーヴォー考】


 毎年、大流行?のボジョレー・ヌーヴォー。
輸入量は毎年のように前年を上回り、一体どうしてこんなに人気があるの、といぶかれながらも、毎年どこがで売れている・・う〜ん、すごいワインです。

「あんなに荒い味のワインを有り難がるなんて気が知れない。」とか
「あんなものは、ブドウジュースじゃないか、ワインとしては邪道だよ。」とか
「一体どこが美味しいんだ。バカみたいに騒いだりして・・」なんてご意見される消費者の方がかなりの数?お見えになられます。
「ボジョレー・ヌーヴォーは、もうイイヤ」って方が結構いらっしゃるんですよね。
それなのに毎年輸入量は増え続けている。
それはやはり、美味しいボジョレー・ヌーヴォーを毎年待っていらっしゃる方が大勢おられるのではと思います。

美味しいボジョレー・ヌーヴォーとは何か。
少し覗いてみたいと思います。

マセラシオン・カルボニック法。
日本語訳では「炭酸ガス浸漬法」と言います。
(醗酵時に出る二酸化炭素(炭酸ガス)を充満させて醸しを行なう方法です。)
この醸造法が美味しいボージョレー・ヌーボーの造り方です。
この方法で造ると、酸味の少ない、タンニンの少ない(つまり渋みの少ない)、
そして新酒時の収斂味のない、美味しい赤ワインが出来上がります。

    詳しい説明は「マセラシオン・カルボニック法とは。をご覧ください。

そして、フランス・ボジョレー地区で栽培されるガメイ種の特徴とこのマセラシオン・カルボニック法がとても相性がよく、ゆえにボジョレー地区でガメイ種を使って造られる新酒は美味しい赤ワインになり、ボジョレー・ヌーヴォーとして多くの方に歓ばれているのです。

では、なぜ不味いボジョレー・ヌーヴォーが出回るのか?
大量生産を行なう大手では、同じ「マセラシオン・カルボニック法」でも醗酵を早めるためにボンベによる炭酸ガスの注入が行われる為、本来のボジョレー・ヌーヴォーの味わいは望めません。

  最近現地では、ボンベによる炭酸ガス注入を行なうマセラシオン・カルボニック法と区別するため、醗酵時に出る二酸化炭素(炭酸ガス)だけを充満させて醸しを行なう方法をマセラシオン・ナチュレ法或いはマセラシオン・ボジョレー法などと呼び区別しているそうです。
つまり、マセラシオン・カルボニック法と言えば、ボンベによる炭酸ガス注入方式と同義語とされており、もはやこの醸造法の総称ではなくなっているようです。

 美味しいボジョレー・ヌーヴォー。
それは、フレッシュなアロマが香り、、軽く爽やかな味わいのワイン。
ガメイ種のポテンシャルをとても良く引き出し、自然な醗酵に伴うブドウ本来の味わいを素直に感じることが出来るワイン。
もちろんバランスの良い味わいでなければなりません。
そして、肩肘はらずに美味しく楽しく飲めるワイン。
これがボジョレー・ヌーヴォーなのです。

タンニンが強い、酸のしっかりとしたタイプではありません。
早飲みを楽しむワインです。
でも、決して荒い味ではありません。
新酒を美味しく楽しむワインなのですから。

最近は、粗製乱造され廉価販売されるボジョレー・ヌーヴォーが多いので、ボジョレー・ヌーヴォーは不味いと認識されている方もおられます。
でも、ワインの高級な味わいではないけれど、きちんと丁寧に造られたボジョレー・ヌーヴォーにはボジョレー・ヌーヴォーの美味しさがあるのですから、ぜひ、美味しいボジョレー・ヌーヴォーを楽しんで頂きたいと思います。

ボジョレー・ヌーヴォーの美味しさのかたちにもう一歩踏み込んでみましょう。
「マセラシオン・カルボニック法とは。
をご覧下さい。




                                      
酒屋慶風トップ  
Copyright (C) 2010 happy-breeze.com. All Rights Reserved.