美味しさのかたち
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【燗酒と冷酒について(2)】

 
 ワインと純米酒、その飲み頃温度と合わせる料理。

それらをもう一度見てみたいと思います。

なかなかこれを比較しながら上手くお伝えする例えが思い浮かばないのですが、そうですね、少し無理があるかもしれませんが「とんかつ」を例にしたいと思います。

まあ、とんかつを食べるのにお酒を用意する必要はあまりないかもしれませんが、上記の比較を分かりやすくお伝えするためですので悪しからずお付き合いください。

とんかつを食べるとき普通は好みのソースをかけます。
そのソースで合わせるお酒が変わります。
え〜、そうなの。ホントに。
訝られるのも無理はありません。
まあ理論ですのでおもしろおかしく見ながら、へえ〜、と思って頂ければ幸いです。

1.とんかつと純米酒

 とんかつをそのままの状態で食べた時、前項でも述べましたように温かい肉料理ですので、純米酒であれば燗酒が合います。

ではここに、ウスターソースをかけてみましょう。
すると、このウスターソースがとんかつと融合して大げさですが新しい食べ物になっています。すると、合わせる純米酒の温度は冷酒(少し冷やからそのまま常温)が合います。

では次に、味噌だれをソースとしてかけてみましょう。
これはもう燗酒が合いますね。

もうみなさん何となくでもお分かり頂けたのではないでしょうか。
上記の理論にはもちろん裏付けとなる化学的な構成要素の説明が必要かもしれません。
しかし、酒を理屈で飲みたくはないですよね。
ただちょっとだけ、より美味しく飲みたいと思うだけでしょう。
酒を飲むのに講釈なんて垂れるんじゃないよ。
野暮ってもんだ。
はい、ごもっともで。

経験則から導きだされた美味しいお酒との付き合い方こそ一番だと思います。

2、とんかつとワイン

 では、とんかつをそのままの状態で食べる時に合うワインはと言うと、それはやはり赤ワインとなりますね。
肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインの通りですね。

では、前回同様にここにウスターソースをかけてみましょう。
同じ赤ワインでも、かなり軽めのタイプ、つまりライトボディの赤ワインがぴったりしてきます。
あるいは白ワインでも少しコクのあるタイプが合ってきます。
ここで、肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインの法則から外れる?ことになる。
いえいえそうではありません。
基本となる原則が在って、そこから一歩踏み込んで行きますとこうなるのです。

この時の赤ワインもそして白ワインも飲み頃温度は、う〜ん、そうですねえ、10度〜15度くらい、もう少しだけピンポイントで言うなら11〜13°で提供されるのが一番おいしいと思います。

具体的に言いますと、赤ならご存じボジョレー、白ならボルドー産のセミオン種かソーヴィニオン種使用ものでしょうか。

ワインはその液体の最も適した飲み頃温度があります。
(これについては旨い酒を旨く飲むワイン編として寄稿したいと思います。)

そのワインに適した温度帯で提供され、そのワインと合わせる料理の相性が一致すると美味しく飲めて美味しく食することができます。

この部分が日本酒とワインの一番の違いですね。
日本酒の場合、同じ酒が温度帯が違って表情を変えながらそれぞれに楽しむ訳ですからね。

では、次に味噌だれを・・、ちょっと待てよ、ワインに合わせる訳だからここは洋ガラシ、そうですね、辛いマスタードですかね。

するとどうでしょう、赤ワインでもライトよりミディアムボディに合ってきます。
それもスパイシーな香りがする赤ワインに合います。
白ワインもコクのあるタイプ、そしてキリッとした辛口に合いますね。

この赤、白ともに飲み頃の温度帯はピンポイントで言いますと14〜16°ってとこですか。

ちなみに味噌だれをかけた場合は、赤ワインならライトよりもミディアムボディでしょう。
しかし、白ワインはちょっとつらいかな。
味噌ですから素材が合わないかもしれません。


ワインと純米酒、その飲み頃温度と合わせる料理は如何でしたか。
少しは、美味しく飲んでいただく参考に成りましたでしょうか。

〔あとがき〕
日本酒の燗酒と冷酒をワインを織り交ぜながら見てみましたが、日本酒の美味しい燗についてお伝えしなければなりません。これぞ、旨い酒を旨く飲む基本ですからね。


                                      
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