美味しさのかたち
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【キレのいい酒ってどんな酒】

よく日本酒のほめ言葉で「この酒はキレがいいねえ」なんて言います。
皆さん普通に使っていらっしゃるとは思いますが、やはりその意味するところを見てみようと思います。

まず、それには造りの理解から始めなければなりません。

1.「並行複醗酵」

 日本酒の造りには必ずこの言葉が出てきます。
これは、米の持つデンプン質をブドウ糖に変える作用とそのブドウ糖がアルコールに変わる作用が醗酵中の同じタンクの中で同時に起きていることを指してこう呼ばれています。

同じタンクの中でこの2つの作用が同時に起きていると言う事は、やはりこのメカニズムが、タイミングよくバランスよく進行することが肝腎ですね。

2.「米が溶ける」

 酒造りに携わる人たちの間では、「今年の米は溶けやすいとか、あるいは少し硬めだな〜。」とか言った会話が交わされます。
米が溶けるとはどういう事かと言いますと、先ほど書きました「米の持つデンプン質をブドウ糖に変える作用」の事を指します。
つまり、麹の持つ酵素が原料米の主成分であるデンプンを糖分(ブドウ糖)に変えることによって米の外形が無くなっていく事を「米が溶ける」と言うのですね。

3.「一麹、二もと、三造り」

 昔から日本酒造りにはこの3つに注意をしながら酒造りを行う事が肝要であると言われています。
「一、麹」とは、良い麹を造ることが上手く米を溶かすことになります。
「二、もと」とは、優良な酵母を培養することで、この酵母がブドウ糖をアルコールに変える働き、つまりアルコール発酵が健全に行なわれてこそ美味しい日本酒になる訳です。
「三、造り」とは、上記の並行複醗酵が上手く行われることを指します。

如何でしょう。
ここまでで、「日本酒の造り」に関しておおよその概念がお分りいただけたと思います。

 では「悪い造り」とは何かと言いますと、米の溶けが思ったより早くて、そのブドウ糖を酵母の働きによるアルコール発酵が追いつかない状態となり、バランスを崩しながら並行複醗酵が進むことを言います。
特にもろみの醗酵の最後の段階まで酵母が活発に働いてブドウ糖をアルコールに変えてくれなければ、その酒には糖分がより多く残り、その味わいはくどく感じることになります。
このような場合を「キレの悪い酒」と言います。

つまり、キレの良い酒とは、バランスよく醗酵が進んだお酒のその味わいのことになります。

美味しい日本酒は、その造りの確かさから来る「キレのよさ」があると言うわけですね。

 

                                      
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